黒アゲハ

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 初めて、【アレ】と出会ったのは三年前。  しぶとい暑さの折り返し地点である、八月のお盆が過ぎた時だった。 「ねぇ、行かなくて良いの……?」  それは、お盆が終わった初日の勤務終了日。  いつものように、帰り道である寺の前を通った時の十八時。  三つ編みを結った黒髪の少女が、━━俺の前に忽然と現れた。  今でも、日が伸びている為か。  彼女の背後に写っている、グラデーションがかったほぼ沈んでいる夕日。  共に少女の着ている黒いワンピースが映えており、一枚の絵画を思わせるモノだった。  夕日の逆光で、見えづらかったが ━━ とても、泣きそうな目をしていた。  そして、夕日が沈んだと同時に、少女の姿も消えた。  
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