炭酸水は失恋より苦く

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 気がついたら西陽がカーテンから差し込んでいた。結局、私は布団の上で短い動画を見続けていた。それはダチョウの頭の悪さを面白可笑しく解説する動画だったり、テレビの切り抜きだったりした。たいして面白くもなかったけど、なにかをしようという気にはならなかった。ただ時間だけが過ぎるのを待っていた。授業くらい行けばよかったかな、と思い返しているところにピコンとスマホが鳴った。 「サボりとかやるじゃん笑 失恋でもした?」 私は真奈の脳天気さに少しむっとする。それとメッセージが図星だったことが恥ずかしかった。 「うん、失恋した」 適当に嘘をついてもよかったが、真奈に対して誤魔化すのも気が引けたので本当のことを送った。メッセージが既読になったかと思うとすぐに真奈から電話がかかってきた。 「もしもし?」 心配そうに小さな声で真奈が尋ねてくる。 「おつかれ、サボっちゃった」 私は少しふざけながら返事をした。 「そんなことはいいよ」 そんな私を真奈は優しく丁寧に咎めた。 「大丈夫?」 返事の仕方がわからなかった。大丈夫だと思えば大丈夫だし、そうじゃないと思えば大丈夫ではない気がした。 「ぼちぼち」 だから私は思ったままのことを伝えた。 「そっか、これから空いていたりする?」 私は少し考えた後に 「特に用事はないよ」 と答えた。 「よかった、とりあえず話きくよ。車出すから支度しといて」 「うん、ありがとう」 そう言い残すとプツンと通話が切れた。私はベッドから起き上がり、洗面台に向かった。ぼさぼさの髪を少しだけ整えているうちに真奈はすぐにやってきた。
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