それは突然に

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それは突然に

 心臓はバクバクで、言葉なんて出て来ない。  必死に考えようと思うのに、頭の中は真っ白で何も思い浮かばない。  かと思ったら、アレコレ一気に溢れてゴチャゴチャになる。 「……っ、え?……な、何、コレ??」 「パニクってんの?かわ〜♡」  男に言われてとりあえずその胸から顔を上げた。  頭一つ分は違う身長。  低いこんな近くでなんて聞いたことのない男の声。 「ぱ、パニック!?」  混乱し過ぎて言われた言葉を叫ぶと、私は必死に押し退けて肩にあったカバンから電子辞書を取り出した。  急いで辞書を開いて文字を打ち込む。 「はぁ……?」  “パニック”を検索してブツブツと小声で読み上げる私に引いたような反応が降ってきた。  でも!!  ある日突然、玄関を開けたら見知らぬ男が居て、しかも抱き着いてきたら……パニックじゃない!?
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