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何事もなく会社に到着。
この高層ビルが、俺の会社だ。
……といっても、部屋を一つ借りているだけだがな。
俺は地下駐車場に車を駐め、エレベーターに乗り、ニ十階にあるオフィスに向かう。
「おはようございます」
社員が俺に会うたびに、程よく腰を曲げて挨拶してくる。いつ見ても気持ちがいい。
オフィスに入り、パーテーションで区切られた一室に向かう。
そこが俺の部屋。すなわち社長室だ。
決して豪華とはいえないが、小さい企業なので、しかたのないことだ。
部屋に着いたら早速着席してPCの電源を入れ、メールや予定をチェック。
終わったら会議室で会議。
会議室といっても、これまたパーテーションで区切られたスペースだがな。
会議内容は、SES事業の近況報告や今後の予定、将来的に開始予定のSI事業について等。
他にもあるが、詳しいことは言えない。企業秘密だ。
会議の後は部下に諸々の指示を出したり、インターネットや新聞、雑誌等で情報を収集したりする。
「ん?」
インターネットでニュース記事を見ていた時のことだ。
昨日のことが記事になっている。
『霊柩車が転倒。遺体が路上に飛び出す』
これが見出し。読むと、右折中に猛スピードで走ってきた車と衝突して転倒した、衝撃によってリアハッチが開いて遺体が路上に飛び出した、運転手がけがをした、付近で黒い乗用車が走り去っていった、警察が走り去った車両の行方を追っている、ということが書かれていた。
……とりあえず、運転手が死んでいなくてほっとした。
それと、倒れていた奴は、事故が起きる前に死んでいたのか。事故で死んだわけじゃなくて、よかった。
安心したからか、ぐぅ~っ、というお腹の音が鳴った。
……そろそろ昼飯だな。腹が減った。
エレベーターで二階に行く。そこにはレストランがたくさんある。俺はその一つであるインド料理店に入り、チキンカレーとプレーンのラッシーを注文した。
昼食を済ませた後は、得意先と打ち合わせ。大事な顧客には、自ら出向くのだ。
もちろん、相手にするのは得意先だけではない。
これまでに付き合いのない企業にも出向く。新規顧客を開拓することも忘れないのだ。
何だかんだで仕事が終わったのは、夜の十時頃。さすがに疲れた。絶賛成長中の企業の社長は、つれ~わ~。さっさと帰ろう。
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