1章

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美香は佐渡の会計が終わるのを待っていた 会釈程度で先に行っても 何も言われないだろうが、なんとなく 立ち去るタイミングを逃してしまった マンション部分のエントランスに 二人並んで歩く、交わす言葉は無い エレベーター待ちをしている時に、 美香が口を開く 「私、春川 美香って言います。やっぱり お名前、教えてください。」 そう言われ佐渡は少し考えた 別に名前を教えたくないわけではないが 教えても何かある訳でも無いだろう 今まですれ違った事が無いのが不思議だが この先、挨拶ぐらいはするかもしれないし… 「あっはい、おっ・私は佐渡 礼司と言います よろしく」 名前を教え終わるタイミングで エレベーターのドアが開く美香はそのまま 乗り込み振り返ると 佐渡は乗り込まずに待っていた。 「乗らないんですか?」 美香は不思議そうに佐渡に聞く 「あー、いや密室に男女、二人きりって 言うのは…ね…美香ちゃ…さんが怖いかと」 佐渡は、そう言い遠慮している。
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