20人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
立ち去る医大生を並んで見送る
美香と中年男性
医大生の姿が見えなくなったのを確かめると
「…もう、大丈夫そうだね、じゃあ私は
この辺で…気を付けてお帰りなさいね」
そう言って立ち去ろうとする中年男性
「あっ、ちょっと待ってください!
ありがとうございました。それと…
貴方は誰なんですか?何故、私の名前を?」
お礼を言い頭の中の疑問を聞いてみる美香
「いえいえ…
んーただの通りすがりのおっさんですよ。
名前は…彼が何度も呼んでましたからね
あまり良い雰囲気では無かったので
余計なお節介かとも思ったんですが
声を掛けさせてもらいました。
では、これで・・・」
背を向ける男性に美香は
「あっあの…改めてお礼がしたいので
お名前、教えていただけますか?」
ほんの一瞬、胸の高鳴りを感じた
恋愛対象に考えた事も無い年齢の彼に
「あーいや気にしなくていいよ、じゃあね」
振り向きもせず右手を軽くあげただけで
そのまま立ち去って行った中年男性
最初のコメントを投稿しよう!