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美香は離れていく中年男性の背中を何度も
追おうと足を踏み出しては
追いかけてはいけない気がして止まる
3車両分の距離には居る
中年男性も電車に乗るのだろう
再び電車がホームに入ってきた
近寄るのを辞め電車に乗り込む
美香は
『あの男性は何処で降りるのだろう?』
そんなことを考えていた。
しばらく電車に揺られ自分の降りる駅に着く
電車を降り男性が乗った車両の方を見る
『…居るわけないよね…』
降りた人数は多いわけではないが
その中の一人をピンポイントで見つけるのは
難しいだろう、やはり見当たらない
諦めて改札に向かう美香
『もう一度、逢えたら、もっとちゃんと
お礼を言おう…』
そう考えながら改札を抜けた
夜でもそんなに暗くない道を10分も歩けば
自室に着く、ゆっくり歩き出した美香
後ろを振り向くことは無かった…
先程の電車、ドアが閉まる寸前に
一人の男性が慌てて降りていた。
そう先程の中年男性だ。
奇しくも同じ駅で降りたのだった。
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