1章

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「…ふう、乗り過ごす所だった…」 そんな独り言を呟いている彼は 佐渡 礼司(さわたり れいじ) どこにでも居る、ただのサラリーマンだ 来月には43になるバツイチで子供は居ない 少し長身ではあるものも鍛えていると いうほどでもない 子供が居ないのは彼が無精子症だから 離婚もそれが原因 初秋とは言え日中は、まだまだ暑いが この時間ともなると、やはり肌寒い 誰も待っていない自宅に帰るとなると なお一層、寒さが身に染みる 「晩飯は…コンビニでいいか…」 佐渡は近場のコンビニに立ち寄り ビールと、つまみになりそうな総菜と弁当を カゴに入れ、レジに向かう 先客の女の子が会計をしてる最中だ 待ちながら 女の子の背中を何気なく見て 『…小柄だけど、なかなか 良いスタイルだなぁ…そういえば、さっきの 女の子も小柄だったよな…って、あれ?… この子、さっきの子じゃん…』 そう先客は美香だった 美香もまた必要な物を買いにコンビニに 寄っていたのだった。
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