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「へー、占い師になったんだ」
「といっても開業はこれからなんだけど」
ドアを開けると、蒸し暑い外気とは違う、ひんやりした空気が迎えてくれた。
「そういえば昔もタロットとかやってたよね。大アルカナだけだったけど」
「今もだよ。小アルカナ覚えきれないんだもん」
「えー、プロなのに?」
「名乗ればプロになれる業界だから」
明るい笑い声が、静かな部屋に響く。
と、そこに
「綾香ちゃん、仲直り出来たんだね。よかったね!心配してたんだけど、やったじゃない!」
にこやかでおしゃべりなお姉さん幽霊が、壁からすぅ…っと姿を現した。
「キャーーーーーーーー!!」
栞が髪を逆立てんばかりにパニックを起こして逃げていく。
「もう、お姉さんのバカ!成仏したんじゃなかったの?」
「だって、気になってたんだもん」
部屋に縛り付けられているお姉さんは、栞を追いかける私ににっこり笑って手を振った。
《End》
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