カードで未来は見通せない

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「成仏、出来る当てがあるんですか?」 「勿論よ」 「なんで今まで成仏しなかったんですか?」 「一人じゃ出来ないことなの。でも今までは誰も協力してくれなくて。っていうか、皆逃げちゃって」  そうでした。  私は腰を抜かしたばっかりに、この幽霊に捕まっちゃったんだっけ。 「………それで、何をすればいいんですか?」 「協力してくれるの?やったー」  だって、成仏しないと、いつまでもこの部屋に居つくってことでしょ?  私の占い部屋が幽霊憑きだなんて、お客さんの足が遠のきかねない。  なけなしの貯金をはたいて契約したんだから、お客さんに来てもらわないと困る。  というわけで、私は『お姉さん成仏大作戦』に協力することにした。  お姉さんには心残りがある。それは妹のように可愛がっていた従妹のこと。 「今、いじめにあっているみたいでね」と溜息をついた。 いじめ、という単語に私はビクッとする。  お姉さんはそれに気づいたのか気づいていないのか 「真面目な子だから、自分を追い詰めちゃうんじゃないかって心配なの」 と続けた。 「だから、無理して学校に行く必要はないって。学校に居場所がないんだったら、他に作ればいいって。肩の力を抜いて、まずは生き延びて欲しいって、伝えたくて」  自分が生きている時なら、自分が居場所になってあげられる。でももうそれは出来ない。  そう語るお姉さんは切なげだ。 「だからせめて、気が楽になる言葉を伝えたくて」 俯く私の顔を覗き込んで聞く。 「それとも、綾香ちゃんはどうしても学校に行くべきだと思う?いじめられてても…」 「行かなくていいです!自分をいじめる誰かがいる教室(ところ)になんか、行く必要ないです!」 思わず強くなった語気にハッとなるが、お姉さんは笑って言った。 「綾香ちゃんなら、そう言ってくれると思ったんだ」  
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