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中二の頃、同じクラスに仲のいい友達がいた。それが彼女 ー栞ー だ。
課外活動や試験勉強、文化祭や体育祭の時、私の横には必ず栞がいた。
その栞がいじめの標的になったのは、二学期の半ばを過ぎた頃。
きっかけは知らない。
大人しい性格だとか、可愛い顔をしていてちょっと男子に人気があったとか、そんなささいな、栞自身に責任のない理由からだったと思う。
その時、私は当然栞を庇う…べきだった。が、そうはしなかった。
栞を庇って、自分がいじめられるのが、怖かった。
私は彼女と距離をおいた。
その栞と会う約束を取り付けた。
彼女と会うのは、何年ぶりだろう。
中二でいじめに遭った栞は次第に休みがちになり、最後には登校しなくなった。
私は後ろめたさを感じながらも、彼女から離れたまま卒業を迎えた。
私は女子高に進学したが、栞は高校には行かなかったと聞く。
そして私が浪人して、次の受験に向け勉強していた年の正月に、数年ぶりに栞から年賀状が届いたのだ。
そこには新年の挨拶の他に
「大学入学資格を取って、〇〇大で学生生活を送っています」
という一言が添えられていた。
その大学名は、私の第一希望だ。
私が普通に高校で授業を受け、塾に通い、それでも受からなかった大学に、高校に行けず、独学で資格をとった栞が合格した。
負けた、と思った。
全てにおいて私の負けだ。
年賀状いっぱいから「ざまぁ!」という声が聞こえる気がした。
そして私は二度目の受験も落ちた。
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