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突然の宣告だった。
『これより十五分後に、地球に隕石が衝突します』
三時限目の授業中、そんな校内放送が流れた。
「は?隕石?」
「何かの冗談か?」
「静かにしないか」騒然とする教室内に、教壇に立つ山本教諭の喝が響く。「放送が聞こえないだろう」
そう言いう山本教諭も何事かと、そわそわしている様子だ。
『繰り返します。これより十五分後に地球に隕石が衝突します。政府から通告がありました。皆さん、最後の最後まで人としての理性を保ち、秩序を守り行動してください』
「もう一分経ってね」
お調子者の田崎志郎が茶化すように言った。つまらない冗談に教室内がどっと沸いた。突如起こった非日常的なイベントに皆、興奮していた。しかし、開け放たれた窓の外で警報が鳴り響いた時、笑みを浮かべる者はいなくなった。
「え……、マジ?」
ムードメーカーの加藤絵里が引き攣った声で呟いた。山本教諭がどこかに電話を掛けた。小声でボソボソと相づちを打ち、電話を切るなり床に膝を着いた。
「先生、この放送ホントなの?」
「隕石ってガチ?ウチら死んじゃうの?」
皆の視線が教壇に集まる。山本教諭が青ざめた顔で言った。
「い、今、校長に確認した。……本当だ。世界各国の政府はこの事を一月も前に知っていたが、民衆のパニックを恐れて直前まで隠していたらしい」
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