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現在はアルバイトを辞めて上京し、周辺で暮らしているらしい。
あっさりと近況を吐かれて、動揺で腰から力が抜けていくようだった。
「仕返しっつーか、サプライズだけど」
どこか上機嫌な空閑はそう言って、博臣の唇を奪う。
半年ぶりの、唇同士を合わせるだけのキスだった。
……────。
「ん、んっ、あ……」
苦しいほど、新しい酸素を取り込む時間も許されないくらい、空閑は性急に口付けてくる。
布地を押し上げるほど、硬く滾った熱を太腿に押し当てられ、高揚感に似た感情が胸の中を占めた。
「ま、待って」
「部屋に入れてくれたってことはそういうことだろ」
寝室で、空閑は博臣を見下ろしながらそう言った。
耳の後ろをくんくんと嗅ぐと、「いい匂いだね」と、感想を漏らす。
自分の使っているボディーソープの香料とは違うが、空閑も洗い立てのようないい匂いをさせている。
肌もしっとりしているというか、体温とはまた違う温かさが残っている。
「守屋さんから連絡もらって急いで風呂入って、こっちに来たんだよ」
それが意味することを理解できないくらい、博臣は性に無頓着ではない。
「風邪……引くだろ。夜はまだ寒いのに。うちで、入ったらよかったのに」
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