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空閑は早口で言い切ると通話を切った。
音が途切れ、通話の画面が終了し暗転した画面には、やけににやついた自分がいることに気付いた。
恥ずかしさがこみ上げてきて、この家には博臣以外他の誰もいないのに、軽く咳払いをして居住まいを正した。
と、内心思っていると、「ここにいるよ」と抗議するように、アメが胡座をかいた上に飛び乗ってきた。
拾われてから博臣を避けていた節があったが、一度心を許したのか頭をすりすりと擦りつけている。
何度も引っ掻いた博臣の手を労るように、アメは小さな舌でぺろぺろと舐めてくる。
「お前は……実は人懐っこいのか? よかったな、飼い主に会えて」
その晩、珍しくケージに戻らなかったアメは、先住猫が残していったクッション型のベッドの中で眠っていた。
……────。
Stellatoのピーク時間は、中高生の下校が始まる時間帯だ。
最近、人気のインフルエンサーか誰かがうちのジェラートの写真を上げたとかで、例年にも増して忙しい。
アルバイトの子達が出勤し始めるのと入れ替わりで、博臣は遅い時間に昼休憩をとった。
裏の事務所で持参したおにぎりを食べていると、いつにも増して店が騒がしいなと感じた。
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