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──さて……どうするか。
幸いにも博臣の管轄する店は、高校が近いこともあり人手はすぐに見つかるだろう。
しかし、武井の代わりともなれば、新人なら二人はほしい。それと……空閑のこと。
いろいろ考えすぎて頭がパンクしそうだ。
けれども、社会人の身、プライベートは後回しだ。
博臣は午後のシフトの出勤前、上長であるエリアマネージャーに、求人の可否のメールを作成した。
幸いにも学生の夏季休暇は終わり、混雑はさほどない。
表はアルバイトの子達に任せて、博臣は事務作業に没頭できた。
「前出てもらってごめんね。そろそろ代わるよ」
博臣はそう声をかける。しかし、女子学生は眉を下げ名残惜しそうな表情をした。
「えー……店長、もうちょっといていいですか?」
「え、いいけど……」
「もうちょっとで推しが来る時間なんです!」
「推し? ……ああ、あの背の高い銀髪の。空閑くんのことか」
「えっ!? 何で店長名前知ってるんですか!」
──あ、まずい。
博臣はついぽろっと空閑の素性を話してしまった。
何て言えばいいんだ……知り合い、常連、友達……。
考えあぐねていると、ふいに名前を呼ばれた。
「守屋てーんちょ! 昨日ぶり!」
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