ブルーキュラソーライチの決意

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店というのは、博臣が店長をしている「Stellato」のことを指しているのだろう。 『守屋くん。悪いんだけど──』 総合職として入社した博臣に辞令が下り、現場で働くことになった。 場所は偶然にも博臣の出身地である片田舎の満天町だった。 同期やめぼしい正社員は、誰も手を挙げず、博臣が赴くことになった。 家庭を持っていない独身の博臣は、会社としても扱いやすかったのだろう。 任期は今年いっぱい。手当も都心で勤めていた頃よりも弾むと言われ、「それなら」と同調した。 車は必須だが道はそれほど混雑しないので快適だし、久しぶりに賃貸より断然広い実家に居つきながらの生活は、そこそこ楽しかった。 楽しみの一部が、空閑と顔を合わせることだった。 突然辞令が下った博臣に、同期達が「何かやらかした」と、あらぬことを疑われたのは知っている。 あいも変わらず都心部で働く彼らに、劣等感を持たないわけではなかった。 でも、かつて芸能界に身を置いていた空閑の話を聞くと、何だかそんな悩みも小さなスケールのものだと思えてくる。 決して空閑のほうが不幸だと見下しているわけではない。 凡人が一生することのない経験を、まだ成人していない空閑がこうして話してくれることが、博臣にはくすぐったくて嬉しかった。
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