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「大丈夫か……ほとんど未成年なのに」
「お酒は飲まないようきつく言ってます」
「けどなぁ……他に店もあっただろう。あ、いや、文句を言っているわけではなくて」
せっかく博臣のために開いてくれた送別会だ。
水を差すようなことを口にしてしまったことに気付いて、博臣は言葉を途中で止めた。
拍手と「お疲れさま」という労りの言葉が投げかけられ、博臣はありがとうと頭を下げた。
──あ……。
長テーブルの中央あたりに、空閑が座っている。
アイスブルーの瞳を博臣に向けると、そのまま柔和な表情をつくった。
「店長。お疲れさまです」
「あ、ああ……企画してくれたの、空閑くんか? わざわざありがとう」
そういえば、ちょうど先月。空閑にそれとなくこの日は予定を空けておいてください、と言われた気がしたのを思い出した。
なるほど送別会のためか、と今さらながら腑に落ちる。
「というか、何で居酒屋なんだ? 飲む気じゃないだろうな」
「まさか。居酒屋って大人とじゃないと行けないから行ってみたかったんで。皆の意見で」
博臣のための送別会……というよりは、学生達が居酒屋の雰囲気を味わいたかっただけのようだ。
正直な感想に思わず笑ってしまった。
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