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揚げ足を取られて、う、と博臣は口を噤んだ。
お互いに口を聞かなくても、博臣の甘い声だけは閉じられた寝室の中で響く。
「ん……あぁ……」
「こんなにとろとろだからローションなくても大丈夫そう」
「え……? ああ……!」
蜜を溢している先端を掠めると、空閑はそれを纏わせた指を後孔に押し当てる。
久しぶりの感覚……その先のまだ快感に結びつかない感触があることを知っている。
夏の日の一夜を思い出し、身体は自然と強張った。
足を閉じた素振りを、身体に密着している空閑は見逃さなかった。
額に口付けると、博臣の腰と臀部を撫でさすった。
「ちょっとずつ……思い出させるから、ね? 触らせて」
声色は優しいが、うんと首を振るまでこの男は折れないだろうと思う。
思った以上に潤んでしまった声で頷いた。空閑は眉根を寄せる。
「ごめ……変な声」
「……俺、最後までもつかなぁ」
「え……あ、俺も、したほうがいいか?」
いたたまれなくなって、博臣は恥を忍んでそう聞いた。
綺麗な形に整えられた眉は、博臣が言葉を投げかける度に歪む。
空閑は難しい表情で「俺がする」と言い張った。
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