47人が本棚に入れています
本棚に追加
完全ストーカー吸血鬼の行為を、ハルカが「仕方がなかった」ことして、柔軟な対応をしたのにはワケがある。
ヴァン爺という、タツ子にゾッコンだった吸血鬼を間近で見ていたこと。
幼少のころから、きっかい村に出入りしていたこと。
これらの経験値により、人族とは次元のちがう異種族たちの求愛行動について、ハルカはある程度理解していた。
魔族にしろ、妖怪にしろ、獣人にしろ、粗野で乱暴なモノはごく一部。
多くの異種族たちは人間以上の知性や品性を備えていて、とくに真面目で穏やかな気質のモノが集まっている「きっかい村」では、トラブルはほとんどない。
しかし、どんなに穏やかで理知的な彼らであっても「唯一」急変することがあった。
それは――彼ら、彼女らが、恋に落ちたとき。
たとえば、道ですれ違った瞬間。
「いま、突然にアナタのことが好きになりました! 結婚してください!」
図書館で、3度目に顔を合わせたとき。
「どうして、いまの今まで気づかなかったのか! わたしの目は節穴だったのです!」
シルヴィーのように「ひと目みて~」のときもあれば、顔を合わせて何度目かのときもある。
どちらにせよ、そこからは理性をかなぐり捨てた、本能剥き出しの求愛行動が開始されるのである。
ストーカー行為に該当する「待ち伏せ」「出待ち」「張り込み」は基本中の基本で、プレゼント攻勢&四六時中のデートのお誘い&延々につづく愛の告白、などなど。
晴れて両想いとなれるその日まで、執拗で性急な、度を越しまくった、じつに「うっとおしい」求愛行動がつづくのである。
最初のコメントを投稿しよう!