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それら異種族学的恋愛衝動、求愛行動に鑑みれば、幼いハルカに恋をしたにも関わらず、接触を試みることなく衝動を抑制。
「ただ見ているだけ」の求愛行動に留めていたシルヴィーが、非常に稀である。
そこには、魔界の最上位種クラスに君臨する吸血鬼なりの理由があるかもしれないが、どちらにせよ本能に抗い、よく我慢できたなと、ハルカは感心した。
それに比べて血族のヴァン爺は、「タツ子さん、タツ子さん、タツ子さぁああんっ!」と、異種族の本能剥き出しに、「好き、好き、大好き」アピールを祖母のタツ子にしていた。
しかし、そのおかげでハルカは、熱烈求愛を受けていたタツ子から「そんなときはね」と、執拗な求愛行動への対処法も、しっかりと伝授されていた。
「まあ、要は躾だよ。本能だろうが、なんだろうが、ダメなことはダメだと、最初にしっかり教え込んで納得させること」
「なるほど」
「つぎに、ルールや約束ごとを決めることだね。なに、そんなに難しいことでもないさ。異種族はおおむね規律や掟、契約を重んじるからね。1度口にした約束を反古にすることはまずない。契約によっては制約もかかるからね。破れば命を落とすこともある」
「ふんふん」
「あとは人間同士の恋愛と同じだよ。まずは、お互いを良く知ることだね。相手の話しをたくさん聞いて、自分のことも同じくらい話す。何が好きで、何が嫌いか。一番うれしかったことは何か。最後に泣いたのはいつか。どんな生き方をしてきたか。恋人に求めるものは何なのか。好きとか嫌いとかは、その先にあることさ」
「わかったよ。婆ちゃん」
きっかい村で楽しく過ごすため。
お隣さんと良い関係を築くため。
ハルカは、さっそく実行することにした。
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