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爽やかな風が吹き抜けるなか。
乱れたシルヴィーの金髪を整えてあげながら、「あのね」とハルカはやさしく話しはじめる。
「シルヴィーの気持ちは嬉しいよ。でも、ゴメンね。わたしは今日、会ったばかりだから、今すぐ好きになることはない。でも、シルヴィーとは仲良くしたいから、まずは婆ちゃんやヴァン爺がそうだったように、茶飲み友だちからはじめない?」
「お友だち……僕が、ハルカさんのお友だち……」
金の瞳が、またキラキラと輝きはじめた。
「そう。お友だちとして、節度あるお隣さんとして仲良くなりたいの。それでもいい?」
「もちろんです! ハルカさんを尊重し、礼儀正しく節度ある吸血鬼として、役に立つお隣さんとして、誠心誠意お仕えすることを誓います!」
力強く宣誓するシルヴィーに満足して、ハルカはその先をつづけた。
「お友だちとして、お隣さんとして仲良くするために、古民家の覗き見はしないこと。役場のデータベースに侵入するのもダメだよ」
「お約束します!」
「それから~~~」
「なんなりと!」
なんでも了承するシルヴィーのおかげで、『お隣さん諸法度』はあっという間に制定された。
1、古民家の覗き見、盗み聞き、絶対禁止
2、古民家の不法侵入、不法転移の禁止
3、個人情報のデータベースへの侵入不可
4、精神魔法の使用厳禁
5、青山ハルカの拒否権は不可侵
6、ご近所同士は助け合うこと
7、お裾分けは大歓迎
8、諸法度はいつでも追加できる
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