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ある違約者は、首を落とされ、自分の首を探して魔界や人間界を首無しのまま、永遠に彷徨い歩くという。
またある者は、永遠に醒めることない悪夢の檻に囚われ、地底を掘りつづけているという。
この誓約の恐ろしいところは、誓約を交わした者のみならず、一族のごく近い者たちもまた制裁の対象になるというところだ。
連帯責任、一連托生である。
主君と生死を共にする『主従の盟約』を交わしているウォーレンは、まぎれもなく制裁の対象となるので、その恐ろしさに慄いた。
主君シルヴィーは断言する。
「きっかい村でハルカさんの『お隣さん』になれたからこそ、血の誓いをしたのだ。今、魔界に連れ戻されたら、ものの数秒でハルカさんの姿をみたくなり、確実に覗き見するだろうなっ! さあ、どうする? それでも、魔界に戻れと云うのか」
下弦の月が暗雲に隠れたとき。
ウォーレンはがっくりと膝から崩れ落ちた。
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