秘密の関係はじめます

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秘密の関係はじめます

* 高校生活2度目の春。 数日前までは綺麗なピンク色だった桜が切なくも散り始めた、今日この頃。 「お願い!」 私、栢野(かやの)みなみは痛切な声を青空に響かせた。 思いのほか反響してちょっと焦ったけど、出勤や通学で賑わう中、 誰もこっちを見てなかったからセーフ……だよね? 「ねぇ、(すい)〜」 だめ? と見上げて覗き込むのは黒いピアスの彼、市ヶ谷(いちがや)(すい)。 私と同じ学校に通う同い年で、生まれた時から家が隣同士の幼なじみだったりする。 「……なんか言ってよ」 何も答えてくれない彗だけど、 漆黒の前髪から覗く目は冷たいし、眉だって怪訝そうに寄せてるから、機嫌が悪いってことだけはわかる。 それでも挫けない。 彗が素っ気ないのはよくあること。
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