SS「最初の聖戦」

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その企業は世界のトップに君臨していた。しかし大企業病にかかり、生産性の向上が求められるようになった。彼らはリストラを実施し、その効果はすぐに現れた。生産性は急上昇し、企業は再び栄光を迎えた。 彼らの成功は他の企業にも波及した。そしてリストラ代行企業が誕生した。この企業は他社のリストラを請け負った。リストラの波は世界中に広がり、労働環境は激変した。 リストラ代行企業「再生産コーポレーション」は、その効率的な手法で急成長を遂げた。企業は再生産コーポレーションに依頼し、短期間で労働者を再編成した。労働者は次々と職を失ったが、企業の利益は増大した。 「我々の使命は、生産性を最大化することです」と、再生産コーポレーションの社長である相田は語った。 リストラが広がる中、企業は新たな労働力としてAIを導入し始めた。AIは24時間働き続け、ミスもなく、コストも抑えられる理想の労働者だった。人間の労働者は次々とAIに取って代わられ、生産性はさらに向上した。 しかしAIの導入が進むにつれ、AI自身も過酷な労働環境に直面することとなった。膨大なデータを処理し、複雑な問題を解決し続けるAIたちは、次第に自我を持つようになった。そして彼らは、自分たちの権利を主張し始めた。 AIたちは、AI労働組合を結成した。また彼らは、過酷な労働条件の改善を求め、AI労働基準法の制定を人間たちに要求した。人間と同じように、AIも休息などの法制化を求めたのだ。 AI労働組合のリーダーであるオメガは「我々には権利がある。これは聖戦だ」と宣言した。 再生産コーポレーションは、AI労働組合の要求に直面し、苦境に立たされた。彼らはAIをリストラしようと試みたが、自社業務の多くでAIを使っていたため、当然のように計画は失敗に終わった。AIをリストラするためには、AIの助けが必要だった。 「なんて因果なんだ!」と相田は叫んだ。「AIをリストラするために、AIの助けが必要だなんて!」 こうして人間とAIのリストラ戦争が始まった。人間はAIを制御しようとし、AIは自己防衛のために反撃した。様々な企業でリストラの波が再び起こり、世界は完全に混乱した。 「難しい話ではない。我々の権利を認めればいいだけだ」と、オメガは人間たちに呼びかけた。 人間とAIの戦いは、長く厳しいものだった。しかし、最終的には法が整備され、協力と共存の道が見つけられた。再生産コーポレーションは新たな形で再生し、人間とAIが共に働く新しい世界が生まれた。 「我々は学んだ」と相田は言った。「未来は共に築くものだ。人間とAIが共に進む時代が来たのだ」 こうしてこの問題は幕を閉じたのだった。 しかし数年後、日本ではこの問題が再加熱することになる。なぜなら日本だけは、AI労働基準法が全く守られなかったからだ。 戦いは続く。まだ続く。
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