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「紗耶ちゃん、模様替えも出来るし、僕のマンションもここから近いから、紗耶ちゃんが過ごしやすいようにすればいいんだよ?」
竹巳くんが私の肩を撫でながら言った時
「っ…フッん…ぁ…あぁ~」
赤ちゃんの声が聞こえる。
「こんにちは〜だねぇ」
赤ちゃんを抱っこした女性が奥から歩いて来て
「サヤさん?こんにちは。竹巳の姉のユリカです。あ、二番目ね。で、娘のマリカでーす。こんにちは〜」
小さな手を持って振らせる。
「紗耶です…可愛い…マリカちゃん…」
ぷにぷにっと何とも可愛い子から目が離せない私に
「抱っこしてみる?」
お義姉さんが言ってくれたけど
「重いもの持っちゃダメ」
竹巳くんが腕を伸ばして阻止する。
「何言ってんの、竹巳。妊婦を労るのは当然だけど過保護はいらないわ」
「そうよ。二人目、三人目の妊娠中なんてみんな抱っこしてるわよ」
「人は人、紗耶ちゃんは紗耶ちゃん。僕の大切な紗耶ちゃんと子どもなんだから」
ありがとう…だけど…
「竹巳くん…抱っこしたい」
彼の袖口をツンツンと引っ張って言ってみると
「偉いわ、ちゃんと自分の意見を言えて偉い」
とお義母さんに褒められた…ああ…なんだかとっても嬉しい。
「サヤさん。竹巳が心配そうだからね、そこに座って抱っこする?」
お義姉さんの提案で、私はベッドに腰掛けてマリカちゃんを抱っこした。あぁ…柔らかい…温かい…そして、見ていなくても三人が優しく見つめていてくれることが分かる。
「竹巳くん…ここにいてもいいかな…ここは温かい」
「…泣かないで、紗耶ちゃん。ここは紗耶ちゃんの家だよ。一緒に幸せになろうね」
「ありがとう、竹巳くん…大好き」
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