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「紗耶さんの感動に水を差すつもりはないけれど、このベビーベッドは3人目になるの。新しいものじゃなくて悪いわね。でもうちの3人目の孫ということで、これを使ってもらえると嬉しいわ」
「ベッドだけじゃなくって、ベビーバスとかも、ここではマリカもお下がりを使ったのよ」
上のお姉さんの出産時から順番に使っているんだね。
「ありがとう…嬉しい。喜んで使わせて頂きます。ありが…」
「母さん、ユリねえ、ちょっと待って。ベビーバスってピンクだったんじゃない?ベッドは木製だからいいけど、あのピンクのベビーバスはダメだよ」
なんと…純国産にこだわったプレミアムなベビーベッドは高級家具材の世界三大銘木“くるみ材”を使用した、お義父さんのこだわりのベッドらしい。何人目でも使わせて頂きます。
で、竹巳くんはベビーバスに色でダメ出し…
「さすがにそうよね」
「そうだよ。僕と紗耶ちゃんが買い揃える楽しみも残しておいてよ」
「それは分かる」
そんな話を聞きながら、マリカちゃんは私の抱っこのまま眠ってしまった。そこへ
「ただいま。ここか?」
「父さんが帰って来たね」
「お父さん、マリカが寝たからしーっ」
お義姉さんが廊下へ向かって顔を出した。
「そうか、そうか……あ、いい光景だね。こんにちは、紗耶さん」
そう言って部屋に入って来たお義父さんの手には、百貨店の紙袋がたくさんあった。
「父さん…まさか……赤ちゃんのもの買った?」
今、楽しみを残しておいてよ、と言ったばかりの竹巳くんがあ然として聞く。
「赤ちゃんのものだけじゃないよ。紗耶さんのものも、いつもの外商についてもらっていくつか買えたからね。竹巳、あとの荷物を車から運んでくれ」
「……………」
竹巳くん…元気出して…
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