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皆でリビングに移動すると、ここにも同じベビーベッドがあり、そこへマリカちゃんを寝かせる。
「可愛い…」
「これでも大きくなったからね。最初はまた別の感動ものよ」
「マリカちゃんが生まれた時に…竹巳くんが私を病院で見たってことですよね」
「そう。マリカの引き寄せ」
「あ、いい光景だね」
ベビーベッドの側にいる私たちのところへ、着替えたお義父さんがさっきと同じセリフを言いながらやって来て、私と目が合う。
「うちの一番新しい家族だったマリカを、さらに新しい家族の紗耶さんが抱いていて、そのお腹にはもうすぐ会える新しい家族もいて、紗耶さんを中心に幸せが色濃く見えるいい光景だった。今は、日々ぐんぐん成長する勢いのマリカを中心に、母親になったユリカと姉妹になった紗耶さんがいて新しい未来が見えるいい光景だね」
「ユリカはずっと妹が欲しいと言っていたのが叶ったしね」
お義母さんも私の隣へ来て、一緒にベッドを囲んだとき、我慢出来なくなった涙がベッドの柵に落ちた。
「ちょっとちょっとっ、紗耶ちゃん?誰かいじめた?帰る?帰ろう」
バサバサ、ドタドタ…と一緒に竹巳くんの声がして一瞬で彼の胸に閉じ込められた。すぐに、いじめられたのではないと否定したかったけど幸せな涙が止められなかった。
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