店主おすすめになります

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「確かめるしかない」  次の日、私はまた王城を抜け出して冒険者として街に出た。  また依頼を受けて戦い、今回も強敵であったために苦戦、少し怪我をしてしまった。 「さすが、誰も受けたがらない依頼なだけあるわ。強敵しかいない」  そうして夕方になった頃、私は帰り道で喫茶店へと立ち寄った。 『いらっしゃい』 「また来たわ」 『ありがとうございます』  メニューを渡されるが、今度は中身を開くことなく、私は言った。 「ブラックコーヒーをお願い。あとおすすめのぱふぇを」 『ミルクとさとうはお付けしますか?』 「大丈夫。今回はなしでいい」 『かしこまりました』  なんて私は負けず嫌いなのか。  どうしてもあのこーひーを克服したいという気持ちが溢れてきて、ミルクを付けるのを拒否してしまった。 『お待たせしました』  しばらくすると、コーヒーが目の前に置かれる。  いつ見ても素晴らしい器なのだが、中身は背筋が寒くなりそうな禍々しいものだ。 92bc8d2c-f399-4aec-8d28-cc30849fad9b 「いただきます」  恐る恐る一口。  口の中に広がるのは独特な苦味と風味。  どうしてもその苦味に顔が歪み、なかなか喉を通ってくれない。 「…………っ」  覚悟を決めたようにして飲み込んでみる。  美味しいとは言えなかった。  さらに、私は気付いてしまった。 「なんで!?」  驚いてしまい、席を立つ。  店主がこちらを見つめて、不安な表情を浮かべている。  見ればそこにあるはずの傷が、嘘かのようになくなっているではないか。 「ついさっきまで……あったはずなのに……」  店内に入る前はあったはずだ。それから口にしたのは回復薬などではなく紛れもない"こーひー"だ。 「これって……まさか……」  なんと、これには回復効果があるようだ。  身体が軽い感覚も間違いではない。 「とんでもないことだ」
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