竜使いの娘(4)

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竜使いの娘(4)

 トーコはお湯を温め直すと、カモミールティーをパパっと作り、テーブルの上、オズワルドの目の前に置いた。  その後、自分のお代わりの分も入れると、ゆっくりと席に着いた。  一方で、後ろから二人を見ているエドガーは、何だか不機嫌そうだ。黒光りしている顔から、眉間(みけん)(しわ)を寄せているのが、何となく分かる。 「ほとんど知らぬ男を、躊躇(ちゅうちょ)無く、家の中に入れおって……。お前は無防備過ぎるぞっ!」  エドガーは、長年トーコと顔見知りだったので、まあ、身内のような気持ちになっていても、不思議ではない。 「エドガーが居れば、じゅーぶんっ、防犯になるじゃんっ。それに、()()()()()()、変な色の髪と眼の女……、誰も相手になんかしないから」 「なっ……。ま、全くっ……、『神の化身』とされる誇り高き竜を、番犬扱いしおって……」  まるで喜劇のような会話だったので、オズワルドは、聞こえるか聞こえないか分からない程度の小声で、フッ……と笑った。  だが、トーコの言葉の一部に対して、何か()()()()()()()を感じていたため、彼は心の奥で、少しモヤモヤとしていたのだった。 「そーいや、アンタ……。確か、王族の血筋だったか?」 「あっ、はい。そうです」 「町よりも、ココは暮らしににくいと感じたことは、無いのか?」 「……そーいうのは、無いですね。とっても静かで、心が休まりますし……。あと、周りの方々からは、いい意味で特別扱いされていないので、少しだけ気が楽かもしれませんね」 「……そうか」  トーコの言葉を聞いて、さっきまで固い表情をしていたオズワルドは、穏やかに微笑んだ。 「あっ! 少し暗くなってきたかな?」  トーコが玄関のドアから、外の様子を確認すると、太陽が西の方角に沈み始めていた。にわか雨も止んでいるようだ。 「日の入り前には、戻らねーとな。……馳走(ちそう)になった」  オズワルドは、流し台の横に入れ物を置くと、早足で外に出た。 「いえ。短い距離ですが、お気を付けてっ!」
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