彪と星轩の誕生日

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彪と星轩の誕生日

8月10日は(あや)の誕生日。 付き合い始めて、始めての誕生日は記憶に残るものにしたかった。 (あや)が喜んでくれそうなプレゼントを色々と考えてみるが、どうしても自分の嗜好に流されてしまう。 夏休みだし旅行へ誘うのもいい、豪華なホテルでディナーの後、熱い夜を過ごすのもいい。 自分勝手な妄想でニヤついていると、匠が俺の横に立っていた。 「何、にやけてんだ?ここは学食だぞ、いやらしい顔は辞めとけ」 「・・・・バカか、俺がいついやらしい事考えてたんだよ」 「そうか・・・・・」 「実は(あや)の誕生日がもう直ぐなんだけど、どんなプレゼントが良いかな?」 「(あや)も誕生日なんだ、実は星轩(シンシュエン)も8日が誕生日なんだ」 「そうか、だったら四人でお祝いするか?」 「そうだな、それも楽しそうだな、夏休みだしどっか行く?」 「だったら、俺に任せろ」 「でも・・・・・余り金を掛けたく無いんだけど・・・・・」 「わかった、任せろ!」 (あや)にとっても星轩(シンシュエン)にとっても最高の誕生日にしたかった。 俺達二人にとって大切な二人に忘れられない誕生日のプレゼントを考えることにした。 そんな俺たちの思惑も知らず、(あや)星轩(シンシュエン)が学食へ入ってくるのが見えた。 二人並ぶと、自然と周りの人の視線が集まり、学食の中がざわついてくる。 それでなくとも、高校時代から(あや)は有名だった。 友達も少なく、人見知りの(あや)は知らないだろうが、その蠱惑的な美しさや神秘的な佇まいは、男女を問わず人を惹きつける魅力があった。 他人に近づく事を極端に避け、深く関わらないようにしてきたのは、自分のセクシャリティを知られたくなかったからだが、(あや)の周りに人を近づけないようにした自分の責任でもある。 独占欲を知られる事なく、自分だけを頼れる親友として、常に側に居続けた。 それでも、誕生日を特別に祝ってやった事は無かった。 男同士の親友としての垣根を超えないように、プレゼントはありきたりのものを贈るようにした。 だが、今年からは恋人として相応しいプレゼントを贈りたい。 ありったけの気持ちを込めて、(あや)に喜んでもらえるプレゼントを贈りたかった。
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