作戦会議

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作戦会議

(あや)星轩(シンシュエン)の誕生日をどうするか? 匠と二人、作戦を練ることにした。 (あや)が10日で星轩(シンシュエン)が8日、そこで決行は8日から10日の二泊三日の旅行と決めた。 バイトの調整は匠に任せ、目的地とそこまでの交通手段は俺に託された。 なるべく費用を掛けない方法として、交通手段は俺の車を使う事にする。 目的地は親父の会社の社員用保養地の海の家を利用する事にした。 社員用保養地とは言え、会社契約のシティホテルは豪華で食事や温泉も充実している。 ホテルの経営する海沿いのグランピングなら、バーベキューも出来るしラウンジでは、お洒落な飲み物も味わえる。 朝早めの時間に静かなビーチをのんびりと満喫することもできるし、夕方になれば美しいサンセットが見られる。 天気の良い日はドリンク片手に濃いオレンジ色に染まったサンセットが楽しむことも夢では無い。 二人だけで海辺の散歩を楽しめば、それだけで忘れられない夏になりそうだ。 この計画なら、交通費も宿泊費も要らず、快適な誕生日を過ごせる。 後は二人の誕生日ケーキを用意するだけとなった。 当日まで二人には内緒にする事にして、匠と二人サプライズの計画を着々と準備した。 二人だけで会う機会が増えた事で、(あや)星轩(シンシュエン)に、不審がられた事は仕方がないとしても、思いがけなく(あや)が嫉妬してくれた事は嬉しい誤算だった。 匠にとっても星轩(シンシュエン)にとっても、アルバイトの収入は生活の為であり、簡単に使えるものでない事は分かっていた。 なるべく二人に負担を掛けない方法を模索する中、星轩(シンシュエン)が卒業後は日本にいられない事を知った。 国費留学生の彼には、国の為に働く義務があり、このまま日本に居続ける事はできない。 もし、日本に居続ける為には留学費用を全額返還する必要があると言う。 卒業迄の三年で、何とかその費用を捻出する方法も匠と二人で考える事にした。 俺達四人の友情と恋人の為に、どんな努力も惜しまない覚悟が生まれた。
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