彪の真意

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彪の真意

あの日から、(あや)はずっと俺を避けていた。 朝食も部屋で食べ、大学へも俺より早く出かけた。 顔を合わす事も声を聞く事もなくなった、同じ部屋にいながら酷く寂しかった。 お互い干渉しないとはいえ、存在まで無くなってしまったような、そんな気持ちさえした。 新名に何と言われて俺を避けるのか、(あや)本人がどう思っているのか、それが聞きたくても彼の部屋のドアを叩く勇気が出なかった。 彼を映画に誘った事がそれ程悪い事だとは思っていない、友達だと言うなら映画ぐらい一緒に見る事は普通にある。 それすらダメだと言うなら、彼はこの先ずっと新名 蓮音(にいなれんと)だけに依存する事になり、それが彼のためになるとは思えなかった。 彼と恋愛感情無しの友達にはなれないのか、その事を彼がどう思っているのか・・・・・ 恋愛対象が男だからと言って、男なら誰でも好きになるわけじゃない。 (あや)が俺を恋愛対象に感じたのなら、それを無視して友好を温めるのは無理だろう。 どちらかが、恋心を持った時点で友人関係は無くなる。 残るのは、相手の気持ちに応える事で恋人同士となり、新しい関係を始める事しかない。 もし、(あや)が俺を好きだと言うなら、俺がそれに応えるか、もしくは無理だと離れるか・・・・・このまま、ルームシェアを続ける事は出来ないのだろうか? 自分の気持ちがわからないまま、それでもこの部屋を離れる決心はつかなかった。 (あや)の気持ちを知りたかった。 女と付き合う男だと知っても尚、俺のことを好きなのか、それとも新名に言われて諦めたのか・・・・・
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