友達なら

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友達なら

日曜日の朝、彼が起きてくるのを待った。 朝食を作り、コーヒーを飲みながら一人で食べていると、彼が部屋から出てきた。 あれから彼の顔を見たのは一週間ぶりだった。 「おはよう」 彼は黙ったまま、ぼくを見ていた。 「朝ごはん食べる?」 「おはよう、食べる」 彼がそう言ってくれた事が涙が出るほど嬉しかった。 キッチンへ立って、パンをトースターにセットしながら、涙が出てしまう。 コーヒーをカップに入れて、彼に持って行かなきゃいけないのに、泣いてる顔を見られたくなかった。 歯を食いしばって涙を止めようと思うのに、いくら頑張っても止まってくれなくて、鼻をすする音が聞こえそうで、思わず顔を洗った。 「(あや)」 彼の声が聞こえても、振り向けない。 彼がキッチンへ来て、焼けたパンとコーヒーをテーブルまで運んでくれた。 大きく息を吸って、気持ちを落ち着けて彼に言いたかった事を言った。 「(たくみ)君、この前はごめん」 「気にしてないよ、泣くほど気にしてたのか?」 泣いた事には気づかれてたけど、必要以上にそのことに触れないでいてくれた。 「まだ友達だと思ってくれる?」 「もちろん、(あや)とは友達だろ」 「今度はランチに行こうね」 「そうだよ、美味しいハンバーグの店に行くつもりだったのに・・・・・今日行くか?」 「ほんと?いいの?」 「バイトは夕方からだから、大丈夫」 彼が普通に言ってくれた事が嬉しかった。 自分の事はまだ言えないけど、彼とは友達だからいつか、自分のことをきちんと言うつもり。 そして彼がその事をどう思うか、彼がどう思ってもそれが彼の気持ちなら、受け止める。 彼なら、責めるような言葉もひどい言葉も言わないと信じている。 彼の事は好きだけど、友情を壊してまで手に入れようとは思わない。 朝食を終えて、先週と同じように二人で出かけた。 デパートを見て、スニーカーを買って、美味しいハンバーグの店で二人でハンバーグを食べた。 僕は和風ハンバーグで彼は大盛りチーズハンバーグだった。 僕の嫌いなブロッコリーを彼にあげて、彼の苦手なニンジンを僕がもらって食べた。 食後のデザートのアイスクリームは、僕がチョコで(たくみ)君がバニラだった。 夕方バイトが始まるまで、ぶらぶらと歩き回って、(たくみ)君はバイトへ僕はマンションへ帰った。 この一週間が嘘のように楽しい一日だった。
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