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友達同士の日常
月曜日の朝から、朝食は一緒に食べる事になった。
二人で並んでパンとコーヒーとサラダを用意し、二人向き合って食べた。
片付けをしながら今日の予定を話し、単位や講義や教授の話をする。
同じ文系でも、法文と文学では講義も単位も違う、お互いの情報を交換するのも楽しかった。
個性の強い教授の話も興味深かった。
そう言えば彼は高校時代から本をよく読んでいた。
あの頃の彼はただおとなしく優雅で美しかった、だが、新名の話を聞いた時、あの頃の彪がどんな気持ちだったのか、それを思うと切なくなった。
嫌な出来事に怯え、信じられるのは新名だけだった。
彼の笑顔を守りたい、学生の中にも様々な人間がいる。
いつ何時、彼のことを知る人が現れないとは限らない、そして心無い学生に彼が傷つけられる事がないように、何があっても彼を守ると決めた。
昼休みに学食で彼を見かけた、学生数人と食事をする彼は高校時代よりずっと明るい顔をしていた。
彼から少し離れた席で友達とランチを食べながら、彼を見ていた。
その時、彼の向こう側に新名が居るのが見えた。
彼は女性と一緒だった。
彼もまた、彪を遠くから見守っている事に気がついた。
新名の彼に対する気持ちは、本当に友情なのだろうか、親友とはかくも深い友情で繋がっているものだろうか。
自分自身、男友達にも彼女にも護りたいと思った事もこれ程気にした事もなかった。
自分にとって彼は特別な友達だった、新名も同じ気持ちなのだろう。
彼の存在が俺と新名をそんな気持ちにさせている。
それは、ただの友達ではない親友という特別な関係だから。
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