変わる

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変わる

バイトは週に4回程度、それでもたまに増える事も、時間延長を言われる事もある。 これまで一度も断った事はなく、むしろ有難いと思っていた。  それが今は、シフト以外は断るようにしている。  なるべく早く部屋へ戻りたくて、バイトが終わるとすぐに帰る日が続いていた。  バイトのない日は、二人で夕食を作り、二人揃って食事をした。 これまで家庭の味だとか、手作りだとかそんなものに憧れを持った事も、懐かしいと思った事もない。 元々味わった事もないのに、懐かしいと思うはずがない。 それでも二人で作った料理はこれまで食べたどの料理より、美味しかった。 女の機嫌を取るために、奮発したフランス料理や、お洒落な雰囲気のイタリアンよりも、ずっと満足だった。 料理は誰が作ったではなく、誰と食べるかで味が違うのかと思うほど、アイツと一緒の食事は温かく、そして美味しかった。   あれ程頻繁に会っていた女とも、最近は逢おうとも思わなくなった。 誘いの電話やメールは有るものの、無視する事が多い。  元々、それ程好きだという感情を持って逢っていたわけではなかった。  そう考えると、勝手な男だとサンダルを投げた女の気持ちもわかる気がした。 ただ、やりたいだけで女に会っていたのだと思う。 そしてたまに、(あや)を見ていると、どんな風にキスをするのだろうとか、どんな顔で男に抱かれるのだろうかと、不埒なことが頭を掠める。 (あや)が男であることは間違いないし、これまで男に欲情した事はないのに・・・・・(あや)を護りたいと思いながら、心のどこがで(あや)を犯している自分がいた。    友情を恋慕と履き違えてしまっては身も蓋もない。 (あや)が友達だと言った事を改めて自分に言い聞かせた。 このままずっと友情が続けばいいのに。 そんなつぶやきが、心の隅にぽろりと落ちる。 その日バイトが終わって急いで帰ったのに、(あや)は居なかった。 そして、朝まで戻ってこなかった。 (あや)が外泊したのは初めてだった・・・・・
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