不思議な同級生との快適同居生活

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不思議な同級生との快適同居生活

松木田 彪(まつきだ あや)はクラスの中でも、ある意味不思議な存在だった。 誰かと群れることもなく、だからと言ってボッチかと言うとそうではなく。 いつも一人で静かに本を手にしていた。 クラスのみんなが憧憬と冀望の眼差しを向けながら、話しかけたくても躊躇し気にしないふりをしながら気にしていた。 怒っているわけでもなく、機嫌が悪いわけでもなく、かと言って周りを気にしているふうでもなかった。 たまに彼が微笑むとそれだけで、みんなの気持ちが和んだ。 本人が気が付かないだけで、彼の一挙手一投足にクラス中が翻弄された。 上品で慎ましやかで近寄りがたい美しい人、そんな感じだった。 そんな中、唯一彼のそばに居ることを許されたのが新名 蓮音(にいなれんと)だった。 彼だけが松木田 彪(まつきだ あや)に話しかけられる存在だった。 子供の頃から彼のそばに居て、幼馴染から友達となり親友となった男! 彼もまた、クラスの中で稀有な存在だった。 スポーツも成績も群を抜いて優秀で、男女を問わず彼に近づきたがった。 誰にでも友好的な彼は醜聞も多く、真意のほどはわからないが人気がある事だけは間違いなかった。 彼のプライバシーをはっきりと知るものはなく、噂だけが先行した。 莫大な資産を誇る財界人の息子だとか、見目麗しさは母親が女優だからとか、忙しい両親に放任された孤独な奴だとか・・・・・ 口さがない噂を気にするでもなく、同級生は元よりいつも先輩後輩に囲まれていた。 そんな彼も松木田 彪(まつきだ あや)だけには、特別な思い入れを持って接していた。 二人の関係は誰もが認める特別だった。 そんな松木田 彪(まつきだ あや)と、ルームシェアする事になった。 学費以外は自分で何とかすると、啖呵を切って家を出たのはいいが、バイドだけで部屋代まで賄うのは無理があった。 そんな時、偶然耳にしたルームシェアの話、しかも部屋代は無料だと言う。 願ってもない話に、直ぐに連絡を入れてもらって、訪れたマンション。 そこに居たのは、あの松木田 彪(まつきだ あや)だった。 まさかとは思いながら一応自己紹介をしてみたが、間違いなく同じクラスに居たアイツだった。 よく知らない同級生とは言え、部屋代無料は魅力だ。
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