191人が本棚に入れています
本棚に追加
アイツとの関係
彼との同居に少々の不安や気後れはあったものの、断られる事なく同居が始まった。
条件はかなり良かった。
自分の部屋以外は共有スペースとは言え、散らかす事も汚す事もなく、快適な毎日だった。
彼は特に干渉する事もなく、滅多に顔を合わせる事もなかった。
それなりにお互いの生活を守り、一人暮らしの寂しさも感じる事もない。
たまに、顔を合わせると遠慮がちに話しかけられ、こっちが恐縮するほどだった。
バイドに行く前、朝食を食べる彼に言われた一言が気になった。
「もう起きたの?」
彼がそう言った、もう起きたと言うことは、ゆうべの深夜帰宅を彼は知っていると言うことだ。
起こしてしまったのなら、申し訳ないと謝ったつもりだった・・・・・だが、彼は帰宅に気づいたことを申し訳なさそうに謝った。
深夜帰宅したのは、バイトの一人が急に休んだための延長のせいだった。
俺の生活に干渉しないし、興味もないと言われた様な気がしてイラついた。
せっかくの同居なら、もう少し関心を持ってくれてもいいのに・・・・・
そんな気持ちだった。
彼が新名 蓮音とランチを食べに来た時、見たことのない表情をしていたのも、食べ物をシェアしていたのも驚きだった。
彼が新名 蓮音とどう言う関係なのか、クラスでのアイツの雰囲気からは、二人でいる時の彼の行為は意外すぎた。
大人しく無口な彼が新名 蓮音といる時は、あんな顔をするのかと少なからずショックだった。
なぜ、自分がショックだと感じるのかもわからず、複雑な心境を持て余した。
最初のコメントを投稿しよう!