曖昧な気持ち

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曖昧な気持ち

予期せぬ同居人として彼が目の前に現れた時も、驚きはしたがあの頃の彼をどう思っていたのかは、よく覚えていない。 話した事もなかったし、気にした事もなかった。 ただ、彼の存在が他の同級生と違っていた事だけは、印象に残っていた。 同居する事には、何の抵抗もなかったし、部屋代が浮いたことは嬉しかった。 自分で言うのも憚られるが、確かに女子にはモテた。 気楽に誘って、お茶や食事を楽しみ気が向けば、そのままホテルへ行くのが当たり前だと思っていた。 親との関係が悪いとは言え、外泊や朝帰りは気が引けた。 いっそ一人暮らしをしたいと言えば、勝手にしろと言われ、生活費は自分で稼げと言われた。 そんな時たまたま見つけた、ルームシェアの話は願ってもない話だった。 相手が誰だろうと気にしなかったし、気にならなかった。 それより何より部屋代無料しか考えていなかった。 お互い干渉しないと言われ、一人暮らしの気楽さを満喫出来ると喜んだ。 女子との関係を楽しむためには、時間を気にしていてはせっかくのチャスを逃してしまう。 朝帰りや外泊を誰に気を使う事なく出来る事が嬉しかった。 目論見通り毎日のようにバイトとデートを繰り返し、大学も部屋も満足だった。 告白されれば断る理由などないとばかりに、誰でもどんな女子とも付き合った。 歳下の可愛さやわがまま、歳上の上から目線や傲慢さも快感と捉え、相手を満足させたと自分も満足だった。 それが例え、実のない恋愛ごっこだろうと女の肌の感触に酔っていた。 柔らかでふくよかな身体を抱くたびに、胸は踊り身体が震えた。 相手が満足しているかなんて、そんな事は関係なく、ひたすら自分の満足だけを追い求めた。 女の中に吐き出された白い性は、自分の満足の証のように、ドクドクと脈打つペニスから柔らかなゴムの中へと吐き出す瞬間が堪らなかった。 女の感情など一切考える事なく、ただひたすら自分の快楽だけを求め、相手が満足しようが不満に思おうが、一々気になどしなかった。 相手が望んで付き合いたいと言ったのだから、付き合っている時点で満足させている。 そんな傲慢で嫌な男だとの自覚はあった。 だが、自分が女性を大事にできないのも、心から愛せないのも理由はわかっていた。
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