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蓮音の手管
どう言う訳だか蓮音のシャワーはなかなか終わらなかった。
待ちくたびれた僕は、満腹も手伝って次第に眠たくなった。
うとうととまどろむ僕に、突然蓮音の声が聞こえた。
「彪、また夢見てるのか?」
突然の大声で驚いて僕は飛び起きた。
「夢なんて見てないよ」
「寝るな」
「だって、蓮音が遅すぎなんだよ。何してたんだ?」
「風呂入ってた」
「風呂?シャワーじゃなくて?」
「久しぶりに風呂にしたら気持ち良すぎて寝てた」
「何なんだよ、僕が待ってるの知ってるくせに」
「悪かったよ、でもお前も寝てただろ」
「もういい、僕もお風呂にする」
たっぷりとお湯を張った浴槽に浸かると、想像以上に気持ちよかった。
本当に蓮音の言ったように、気持ち良すぎて眠たくなった。
大きな浴槽で脚を伸ばして目を閉じると、気持ちが落ち着いてくる。
夢心地で微睡む僕の腕が突然掴まれた。
「彪、また寝てるのか?早く来いよ」
「痛いよ蓮音」
「遅いからだろ、いつまで待たせるんだ」
「わかったから、出てけよ」
せっかくの夜を喧嘩で終わらせたく無かった。
急いでバスルームを出ると、パジャマを着て、リビングへ向かった。
リビングに蓮音の姿はなく、寝室へ行くと蓮音はソファに座って僕を見た。
蓮音が両手を伸ばして、僕に笑いかけた。
その顔はこれまで見たどの笑顔よりも、魅力的で胸がいっぱいになった。
これまでそんな顔で見られたことは一度もなかった。
目の奥が痛いほど熱く涙が溢れた。
蓮音に腕を引かれて、キスをした。
唇を触れ合わせながら、蓮音の手がパジャマの中に入ってくる。
温かな大きな掌が横腹をやわやわと揉んだ。
くすぐったさに首をすくめると、触れていただけのキスは直ぐに外れ、蓮音は唇をそのまま頬から耳の下に落とした。
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