女の話

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女の話

何も知らない蓮音(れんと)は、椅子に座ると僕の飲み掛けのアイスコーヒーを当たり前のように 飲んだ。 それもいつものことなのに、彼女達にもしていたのかと思うと腹が立つ! 「それ、僕のだから飲むなよ」 「いいだろ、俺とお前の仲なんだから」 「さっき松嶋 彩奈(まつしまあやな)って女が来たんだけど」 「だれそれ?」 「お前と付き合ってるって言ってた」 「俺が付き合ってるのはお前だけだろ」 「蓮音(れんと)に付きまとうなって、言われたんだけど」 「そんな女気にするな」 「気にするなって言っても、気になるだろ。思い出せよ。あんな女と付き合ってたのか?」 知らない振りをする蓮音(れんと)に、だんだん腹が立って益々イライラしてきた僕は、女の話を全部話した。 「僕のことストーカーとか、朝から晩まで一緒に居るから、自分と付き合う時間が無くなったとか、僕散々言われたんだからな」 怒りを滲ませた顔で、真剣に話しても蓮音(れんと)の方は、のんびりと他人ごとみたいな顔をしていた。 「でも俺、そんな女全然覚えてない」 「お前は覚えてなくても、あの女は僕に喧嘩を売ったんだ。あの女の(かた)をつけるまで、僕に話しかけるな。話すのも禁止、食事も別な」 蓮音(れんと)が呆然とするなか、席を立つと店を出た。 女の話を真に受けたわけじゃないけど、全く関係ないとは思えない。 女があんなに言っている以上、蓮音(れんと)は彼女と話をするべきだと思った。 どっちにしても・・・・・ あんな女に手を出したお前が悪い。
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