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再び現れた女
あれから蓮音とは口も聞いていないし、勿論ランチも登下校も別々にしている。
自分から言い出した以上、今更話しかけるわけにもいかず、蓮音の方もあれから何も言ってこない。
朝は匠君と一緒に登校しても、帰りは一人で帰ることが多くなった。
今日はたまたま匠君と同じ講義が終わって、二人で校門のところまで来たところで、女性に声をかけられた。
てっきり、匠君の方だろうと思っていたら、女性は僕の名前を呼んだ。
「|松木田君」
久しぶりに苗字で呼ばれて、驚いて振り向くと、この前の女が居た。
「君、松嶋 彩奈さんだっけ?」
「おい!誰だよ」
匠君が驚いて僕をみた。
「蓮音が付き合ってたんだって」
「蓮音が?で、お前に何の用なんだ?」
「知らない」
「お前、こいつになんか用か?」
「あなた誰?」
「俺はこいつの友達だよ、お前こそ誰だよ?」
「私は蓮音とつい合ってるんだけど、この人が私たちの仲を邪魔するのよね」
女は平然とした顔で、蓮音と付き合ってると言い切った。
驚いた匠君が、僕と彼女を交互に見た。
「彪、こいつの言ってることほんとか?」
「僕には分からない。蓮音が方をつけるって言ってたから、それまでは会わないって言ってあるんだ」
「お前、新名 蓮音と付き合ってるってほんとか?」
「嘘なわけないじゃない、彼の部屋にも行ったし、彼の部屋のソファは私が選んだんだから」
「ソファ?」
「そうよ、寝室にあるあのソファよ」
「・・・・・」
あの部屋のソファが豪華だったのは、彼女が選んだから?
「それに彼はコーヒーにも拘ってるって知ってる?」
彼女言う事は、どれも蓮音のプライベートを知ってるとしか思えなかった。
彼女の言ってることが、本当なのではと思えてきて、これ以上彼女に言い返せなくなった。
「匠君、帰ろう」
「彪、大丈夫か?」
「貴方、その人とはどう言う関係なの?蓮音から彼に変更したの?それならそれで私は嬉しいけど」
彼女は嬉々として喋り続けていた、まるで蓮音に付きまとう奴を撃退でもするかの様な勢いだった。
女ってこんなにめんどくさい生き物だったんだ。
「匠君、女の人って怖いね」
「あの女特別だよ、蓮音も何考えてんだろうな」
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