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三人で
僕たちの部屋に始めてきた蓮音は、話が終わると部屋の中を歩き回った。
僕の部屋へ入ると、ベッドに座ってみたり机の上のパソコンを見たり、部屋中を興味深気に見ていた。
それ程興味を引くものも、見られて困るものもないのに、何故か少しドキドキした。
ベッドに座った蓮音は、僕に無言で手招きをした。
ドアを閉めて蓮音の隣に座ると、いきなり覆い被さった。
ベッドに倒れた僕の顔に、両手を付いた蓮音は、徐々に顔を近づけるとそのまま唇を重ねた。
ドアの向こうに匠君が居る、声を出すことも抵抗する事もできず、蓮音のキスを感受した。
女のことがあってから、蓮音を避けていた僕はキスしただけで、蓮音の背中に周りした手に思わず力が入った。
「彪、今夜は俺のところに行く?」
「・・・・・蓮音」
お互い見つめ合い、キスを繰り返しながら熱い息を吐く。
蓮音の瞳に映る僕も、蓮音の顔も紅く上気していた。
この場所が自分の部屋だと言う事を忘れかけた僕たちに、匠君の声が聞こえてきた。
「あやー、ご飯どうする?新名も一緒に食うか?」
その声に慌てて起き上がった僕たちは、しどろもどろに返事をした。
「蓮音も一緒に食べよう。僕が作るから」
身体の興奮もそのままに部屋を出た。
匠君がニヤリと笑って僕を見た。
「匠、悪いな!俺も一緒に食べていいか?」
「今日は特別だからな」
「匠君、カレーにしよう。材料が揃ってるから、僕が作るね」
「匠、お前さ俺より彪の手作りご飯食べてるんだからな、有難いと思え」
「俺と彪は同棲中だしな」
「違うだろ、ただのルームシェアだっての勘違いすんな」
なんだかんだ言いながら、蓮音と匠君は仲がいい。
喧嘩してるような言い合いも、テンポが良くて聞いてて楽しくなるから、ちょっとだけ羨ましくなる。
僕は二人の言い合いを聞きながら、カレーを作り始めた。
この部屋で三人で食事するのは初めてだった。
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