匠君の変化

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匠君の変化

ルームシェアを始めた頃、(たくみ)君はよく朝帰りをしていた。 帰りも遅かったし、一緒に夕食を食べる事も殆どなかった。 それが今はバイト以外で遅くなることもなくなったし、朝帰りする事もない。 蓮音(れんと)が嫉妬するのもわかる、朝も一緒に食事をして、大学へ行くのも一緒お昼こそ蓮音(れんと)と一緒とは言え、夕食も一緒に食べることが多い。 一人で食べるよりは誰かと食べた方が美味しいし、同じ部屋で別々に料理を作るのも変だし、一人分の食事も二人分も変わらないなら、当然のことだと思う。 それにしても、最近の(たくみ)君は彼女はどうしたのだろう? 余計な事だとは言え、自分だけが幸せな顔でいるのも居心地が悪い。 食事の時にさり気なく聞いてみたけど、笑っているだけで曖昧にスルーされただけだった。 (たくみ)君がその気になれば、相手は直ぐに見つかるはずなのに、そんな彼が一人なんて信じられない。 (たくみ)君はどんな女の子が好きなのか、ちょっとだけ気になった。 まさか、蓮音(れんと)が付き合っていたと言う松嶋 彩奈(まつしまあやな)みたいな女じゃない事だけを願いたい。 いつか四人で食事ができたら、楽しそう・・・・・そんな事を考えていた僕に蓮音(れんと)から衝撃的な情報がもたらされた。 あの(たくみ)君が、男の人と付き合っていると言う。 性悪な女より、男がいいとか男女差別をする気はないが、これまでの女子との付き合いが蓮音(れんと)のようなフェイクの恋愛だったとは思えない。 蓮音(れんと)の話は直ぐには信じられなかった。 だが、その日僕は蓮音(れんと)と学食でランチ中に、(たくみ)君が食事をしているのを見かけた。 相手がただの友達だとは到底思えないくらい、(たくみ)君の顔は幸せそうで楽しそうな顔をしていた。 (たくみ)君が話していた相手は、明るい元気そうな男子で、身長も(たくみ)君と同じくらい高く、笑うと白い歯が目立つ清潔感溢れる男子だった・・・・・あんな素敵な彼とどこで知り合ったのか、僕と蓮音(れんと)は相手のことが気になった。 (たくみ)君は僕達二人の友達だから、幸せになって欲しかった。
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