告白

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告白

バイトで会い、学校でも会ううちに彼と過ごす時間は次第に長くなった。 バイトが終わって食事を済ませ、彼の住む留学生用の寮まで歩く。 それが当たり前になった頃、到着した寮の前で彼が足を止めて俺を見つめた。 「凛太郎・・・・・」 「星轩 (シンシュエン)どうした?」 「僕のこと大切?」 「もちろん、大切な友達だと思ってる」 「僕は凛太郎(りんたろう)の事、友達だとは思ってない・・・・・」 「星轩 (シンシュエン)は俺のことが好き?」 「好きになってもいい?」 「俺も好きだ、だから星轩 (シンシュエン)も俺を好きになってくらたら嬉しい」 星轩 (シンシュエン)は恥ずかしそうに顔を赤らめ、俺の胸に顔を埋めた。 彼の身体を両手で抱きしめ、小さな頭を撫でた。 同じぐらいの身長の星轩 (シンシュエン)は、顔が驚くほど小さくて大きな目と細い鼻が可愛い。 柔らかな髪を撫でながら、胸に伏せた顔を持ち上げる。 夜目にも白い星轩 (シンシュエン)の顔に、紅い唇が艶やかだった。 柔らかそうな唇にそっと触れると、星轩 (シンシュエン)の熱い息がこぼれた。 「凛太郎(りんたろう)、好きだ」 「星轩 (シンシュエン)、俺も好きだ」 何度も唇を重ね、何度も好きだと繰り返した。 これまで沢山の女性と付き合った、キスも数えきれない程したはずだった。 だが、彼とのキスはこれまで経験したことのない、興奮と熱情が身体を突き抜けるような感覚だった。 これまで男を好きだと思ったのは、(あや)が初めてだった。 自分はこれまで女性と付き合い、ノーマルな人間だと思ってきた。 (あや)を好きだと思った時、これ迄の女性への感情は恋でも愛でもないと自覚した。 (あや)を好きだと思い、星轩 (シンシュエン)を好きになった。 女性への気持ちなど比較にならないほど、胸がいっぱいだった。 星轩 (シンシュエン)が好きで、大切な存在で護りたい存在だった。 何度も貪るようなキスを繰り返し、物足りなさを残したまま、其々の部屋へ帰った。
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