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匠と星轩
好きだと言われたことは、これ迄に何度もあった。
熱い眼差しで見つめられ、手を伸ばして頬に触れただけで目を閉じる彼女達。
そんな女性達を可愛いと思い、柔らかな身体を気持ちいいと感じていた。
だが、その中の一人でも失いたく無いと思ったことはなかった。
彼女が駄目なら、代わりはいくらでも居たし、そう言う意味では女性なら誰でも良かったのかもしれない・・・・・
星轩 を好きになって、他の人は考えられないくらい彼が好きで、彼でなくてはならなかった。
彼のことを想うだけで、幸せな気持ちになり胸が苦しくなるほど、逢いたかった。
彪と新名と三人で大学までの道を歩きながら、星轩 の事ばかりを考えていた。
そんな俺たちの後ろから、優しい声が聞こえてきた。
「凛太郎、おはよう」
胸の奥がドキリと高鳴り、振り返ると愛しい星轩 が笑顔で俺を見ていた。
「星轩 、おはよう」
彪も新名も星轩 を笑顔で見ていた。
「俺の友達の松木田 彪と新名 蓮音、彼は李 星轩 よろしくな」
「凛太郎がいつも話してる友達?僕李 星轩 です。よろしく」
「僕、松木田 彪です。彪って呼んでくれていいよ」
「俺は新名 蓮音、匠とは友達で彪は恋人だから、よろしくな」
「新名と彪、僕は星轩 よろしく」
「お昼一緒に食べよう」
「じゃぁ、12時半学食な」
四人がそれぞれ自分の学ぶ場所へ向かった。
新名は電子物理学、星轩 は社会学部、彪は文学部史学科、俺は工学部電気電子学科、四人が全く別々の事に興味を持ち、学ぶために大学へ入った。
目指すものも学びたいものも違うけど、俺たちは固い友情で繋がっている。
悩みも悲しみも、楽しいことも嬉しいことも、四人なら耐えられるし喜びあえる。
そう思える仲間が居ることが、頼もしくもあり嬉しかった。
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