189人が本棚に入れています
本棚に追加
星轩への想い
星轩 と同じ気持ちだと分かってから益々想いは募り、片時も離れたくないと思いながら、二人だけの時間は中々取れなかった。
星轩 は時給のいい土日の夜のバイトと、週に3日のバイトを入れていた。
店で顔を合わせることはできても、二人だけで逢う時間は無く、逢っても寮までの僅かな時間だけだった。
少ない時間にお互いを求め合い、別れ際の抱擁とキスを繰り返した。
星轩 の全てが欲しいと熱望しても、時間も場所も無く星轩 の細い身体を抱きしめて、お互い熱くなった身体を無理矢理引き離す毎日だった。
だが、8月になれば大学は長い夏休みに入る。
星轩 は夏休みも帰国する事なく、バイトを続けると言った。
国費留学生の星轩 にとって、二学期の授業をより充実させるためにも、夏休みのバイトは欠かせないものだった。
それでも、授業が無い分二人の時間は確実に増える。
夏休みを前に、学校やバイトで顔を見るだけの時間を大切にしながら、彼への気持ちは募っていった。
彼が男同士の恋愛をどう思っているのか、キスは嫌がっているようでもなく、抱き合った時の感じも良かった。
自分がこれまで女子との付き合いしかしてこなかったくせに、彪を好きになった事で男同士の恋愛も抵抗を感じなくなっている。
男を相手にセックスした事はないが、彪なら抱けると思ったし、星轩 の事も抱きたいと思っている。
それは男とか女の問題じゃなく、好きだから自然と生まれる感情だった。
星轩 を抱きしめ、キスを繰り返せば自然と身体は反応するし、もっと彼を欲しいと思う。
彼が自分に抱かれる事で幸せだと思って欲しかった。
星轩 は、もしそうなった時、自分を受け入れることが出来るのだろうか?
そしてその事をどう思っているのだろうか?
初めて恋愛した男子のように、彼とのこれから先のことが、不安で堪らなかった。
拒絶されたら、嫌悪されたらと思うだけで不安に苛まれ、キスすることでさえ躊躇する自分がいた。
れっきとした男子の星轩 が、男に抱かれる事をどう思うのか知りたかった。
キスすら初めてだと言った星轩 の事ばかりを考えて毎日が過ぎていく。
最初のコメントを投稿しよう!