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自覚
自分が他の人とは違うと気がついたのは、中学生の時だった。
僕の名前は松木田 彪。
いつも気になるのは男子で、胸がドキドキするのも男子だった。
カッコいい先輩、可愛い後輩、なぜだか視線の先にいるのはいつも男子ばかり。
自分だけがみんなと違う、女子を好きだと思えない。
可愛い子だとは思っても、手を繋ぎたいとも二人だけで歩きたいとも思わなかった。
そんな自分を知られたくなくて、目立たないように、気付かれないようにしていた。
唯一の親友、新名 蓮音にだけは打ち明けた。
彼はいつも、僕の悩みや相談を真剣に聞いてくれたし、何があっても友達だと言ってくれた。
だから、彼だけには秘密を持ちたくなかった。
彼も女の子にふられたと言っては愚痴り、告白されたと言っては嬉しそうに報告した。
同じ大学に進み、一人暮らしを始めたいと言ったとき、母親を説得してくれたのは彼だった。
僕の秘密を知ってる彼なりの思いやりだった。
好きな人は今のところ居ないけど、大学が始まれば恋人と呼ぶ存在が出来るかもしれない。
いつか告白されたと親友に報告できる日を思いながら、淡い期待と不安の中マンションへ引っ越した。
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