蛍火(ほたるび)

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「およしなさい。経営の才覚しか()()がないんだから、余計な口出しをするもんじゃないわ。うまく行く話もぶち壊しになるじゃないの。まったく、何を言い出すかと思えば……」  さくらはたまりかねて源太郎の言葉をさえぎると、耳まで赤くしている翠に声をかけた。 「翠ちゃん、ごめんね。柏木先生も、うちの野暮天(やぼてん)の言ったことなんか忘れて、気楽に景色と料理を楽しんでいってくださいね」 「ありがとうございます」と、柏木は苦笑しながら答えた。 「なあ大隈さん、先日送った増資の計画書なんだが、読んでもらえたかな」  話の機会をうかがっていた鳥羽が源太郎に言った。 「ああ、もちろん読んださ。鳥羽さん、ありゃだめだよ。そもそも(かし)の木パークランドには将来性がない。競合は多いし、規模も中途半端だ」 「いや、だからこそ増資して……」
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