蛍火(ほたるび)

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「警察関係者を快く思わない方もいらっしゃるので、捜査以外では進んで身分を明かさない習慣が身についているんです。ご容赦(ようしゃ)ください」と堂島が言い添えた。 「いえ、別に非難しているわけではありません。単なる感想ですから、気になさらないでください」 「それで、我々は容疑者ということなんですかね?」と鳥羽雄二が言った。 「いや、まだ薬物が使われたかどうかさえはっきりしていないんですから、容疑もなにもありません。我々はただ、昨日の状況を正確に把握しておきたいと考えているだけです。お疲れのところ恐縮ですが、どうかご協力願います」  堂島が話し終えたところに、小森が戻ってきた。 「失礼しました」 「ご無理はなさらないように。気分が悪くなったら、すぐおっしゃってください」 「ありがとうございます」 「で、我々はどうすれば?」と刈谷が言った。 「そうですね、皆さん、昨晩と同じ席にお座りいただけますか」  会食者たちは堂島の言葉に従ってそれぞれの席についた。  堂島はテーブルの(かたわ)らに立っている小森に尋ねた。 「料理を運んだのは?」
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