蛍火(ほたるび)

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「スープを吐き出しに行っただけです。心臓発作ではありませんから、ご心配なく」と、柏木はさくらに言った。 「吐き出しに?」 「ええ。すみません、シェフの差し入れというのは、僕の作り話です。佛跳牆を飲んだお二人の反応で、共犯関係の有無を見極める必要があったものですから。おかげで、今回の事件が小森単独の犯行だということがはっきりしました」  柏木は戻ってきた小森に言った。 「せっかくのスープをもったいない。ゲンゴロウなんて入っていないよ。犯人に死なれては困るからね」 「どういうことなんでしょう?」とさくらが尋ねた。
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